市立加西病院
トップ活動・取り組み広報かさい>広報かさい2月号

広報かさい

平成27年2月号掲載

腹臥位(ふくがい)療法

腹臥位療法とは

腹臥位療法とは、うつぶせになることで、さまざまな効果を期待する療法です。基本的な体位は、うつぶせになり、腕を肩の高さまで上げ、肘関節は90度に曲げて、手のひらをベッドにつけます。

その効果には、精神機能・呼吸機能の改善、床ずれの予防・改善、手足の関節拘縮の予防・改善、便秘の予防・改善などがあります。特に、呼吸機能の改善においては目を見張るものがあり、人工呼吸器を装着している患者さんにも実施しています。

加西病院の実績

加西病院(看護師)は、患者さんに少しでも良くなっていただきたい、「生きていて良かった」と思える日々を過ごしていただきたい、と腹臥位療法に取り組んでから15年がたちました。これまで延べ約520人に実施し、その効果を上げています。また、他施設から64施設、224人の視察研修を受け入れています。

腹臥位療法の症例

誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こして入院された患者さんで、腹臥位療法を導入した症例を紹介します。入院後、肺炎が悪化したため人工呼吸器を装着し、一時は肺炎が改善しました。しかし、再度肺炎が悪化したため腹臥位療法を開始しました。その結果、多くの粘り気のある痰(粘稠痰)の排出があり、血中酸素飽和度が改善(血中の酸素濃度が増え)し呼吸状態が安定しました。

腹臥位療法導入前後のレントゲン写真は、次のとおりで、導入前の左無気肺状態(肺に空気が入らずレントゲンに写らない状態)が劇的に改善しています。

腹臥位療法の効果

この症例では、腹臥位になることで、

  1. 横隔膜の動きが良くなった。
  2. 換気の良い腹側に血流が移動したために、換気-血流比が改善された。
  3. 重力の関係で背側の分泌物が移動して排出された。

1. 2. 3. が相まって呼吸機能が改善したと考えられます。

また、これまでに腹臥位療法を導入した患者さんの中には、便秘が改善したり、関節の可動域が拡がったり、精神機能が改善した方もあります。

このようにさまざまな効果が期待できる腹臥位療法を今後も継続して取り組み、「生きていて良かった」と思える日々を過ごしていただけるように援助していきます。

(加西病院看護部 織邊智香子)