市立加西病院
トップ活動・取り組み広報かさい>広報かさい9月号

広報かさい

平成27年9月号掲載

新専門医制度

どうやって医師を選びますか?

病気になって医師にかかろうとする際、何を頼りに選びますか?大抵1 位になるのは「身近の病院や医院」です。これは病気のある方にとってアクセスがいかに大事かを示しています。加西病院が加西市に存続する価値を支持してくれる回答です。また、「口コミ」がいつも上位に選ばれるのは心すべきことと思っています。

一方、今回テーマとして取り上げた「専門性」は中間位に位置します。病気にもよるでしょうが、一般のアンケートでは専門医の価値は最重要と思われていないようです。

専門医制度が変わります

専門医制度が平成29年4月に大きく変わります。このところ国の医療制度改革は、地域医療構想、保険制度改革、新公立病院改革と矢継ぎ早で、さらに専門医制度改革も加わります。

どのように変わるかと言えば、資格認定の条件が厳格になり、認定者がこれまでの学会から国が承認する日本専門医機構に移ります。機構が専門医のみならず専門研修基幹病院をも認定します。

内科と外科はそれ自体専門性を持った一領域ですが、その中で心臓や消化器といった個別の領域に分かれるため、一旦総合的な専門医資格を得てから個別の専門医を目指す二階建て構造になります。

このことは資格取得まで他科より時間がかかることを意味し、内科・外科を目指す医師が減るかもしれないと危惧されています。

新専門医制度は平成16年施行の臨床研修制度の混乱を思い出させる

新専門医制度では、初期臨床研修2年間を終えた若い医師が専門研修プログラムを元に全国の基幹病院に応募する方式となります。これは、平成16年に施行された臨床研修制度と同じ構図です。全国的に地方病院の医師不足が起こり、地域医療崩壊を引き起こしました。今回の新専門医制度でも、地方の中小病院に若手医師が来なくなると予想され、影響は深刻です。

新しい専門医制度では大規模病院が若手医師を集めるのに有利であり、しかもその傾向が毎年再生産されます。中小病院が中核機能を担う地域では、医師の不足から地方医療の危機が懸念されます。そのような危険を冒してまで国が専門医制度改革を進めようとする意図は「国民に分かりやすい専門医制度を作るため」と説明しています。国民は医療へのアクセスを犠牲にしてでも制度の分かりやすさを優先したいのでしょうか。

加西病院と新専門医制度

専門研修基幹病院の審査と認可は、今秋から日本専門医機構で行われます。多くの専門領域では大学が基幹病院になる予定です。しかし、内科は大学よりも一般病院が多く基幹病院になります。

加西病院は臨床研修制度で生じた地方病院の医師不足を、より良い教育体制を築くことで乗り越えてきました。今回の専門医制度改訂が引き起こす可能性がある地方医療の混乱に対しても、教育研修で人を育てる病院文化を推し進めることで乗り越えて行きたいと考えています。

そのためには、地域住民の皆さまが医師をはじめ病院職員を大切に育てるという意識が大きな意味を持つと考えます。加西病院を大切に育てるという皆さまのご支援をよろしくお願いします。

(病院事業管理者・院長 山邊裕)