市立加西病院
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広報かさい

平成27年11月号掲載

地域医療構想

地域医療構想とは

「地域医療構想」と聞いてどのような事を想像されるでしょうか。「今より便利で高いレベルの医療が地域で受けられるようになるだろう」と思うのではないでしょうか。科学の発達を受けて生活の利便性が日々向上するように、医療技術や薬剤の発達を受けて医療レベルは日々向上し、新しい治療法が新聞の文化面を賑わします。「夢の治療が身近で受けられるようになっていく」という想像は自然な感じ方であると思います。

しかし、実際の「地域医療構想」は、本年9月から始動した病院のベッド数を削減する計画です。ベッド削減と共に、病床機能を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に分ける再編計画も含まれています。削減するベッド数は国が算定し、都道府県が命令や指導を行います。

ベッド数を削減する理由は、2025年には入院需要が現在より減ると予測しているからです。その中でも急性期のニーズが大きく減り、逆に回復期は増えると推定しています。その足元には年間1兆円ずつ増え続け、今や40兆円を越えた国民医療費をなんとか抑えなければならないという目的があります。

具体的な数は、北播磨圏では現在の3,691床のうち173~285床を削減する計画です。病床機能別では急性期と慢性期をそれぞれ631床と100~212床減らし、高度急性期と回復期はそれぞれ108床と450床増やします。つまり、急性期を大きく減らし回復期を増やす構造です。病院にとっては、病床削減よりも機能再編の影響の方が大きいと言えます。また、慢性期は医療というより介護なので、入院でなく在宅で行うとの考えも根底に流れています。

加西病院と市民にとって

「地域医療構想」は、どのような結果をもたらすのでしょうか。現時点では見通しがつきません。なぜなら、当院の病床が本当に減らされ機能が再編されるのか、そのような変更を拒否することは可能なのか、が見極められないからです。

一般的に病床は病院にとって財産です。その収入は1床当たり年間1,500万円を越えます。病床数が減れば、収入だけでなく職員数の減少も避けられません。病院が病院として機能する上で、多種の職能集団やチーム医療など基礎的マンパワー(人的資源)が必要です。マンパワーが減退すれば、医療安全や感染防止や標準化の取り組みといった医療の基礎が虫食い状態に陥ります。そのような理由で当院は病床削減や機能再編を歓迎していません。

市民の皆さまはどう考えるだろうかと想像しますと、必ずしも一様ではないと思います。国は国民全体の将来を見据えた施策を行いますので、2025年の高齢化ピークの財政状況に合わせて国が進める制度改革には自治体病院は進んで協力すべき、という意見もあることと思います。

今回は、未だ全容が明確でない制度改革の話であったため、分かり難かったこととお詫び申し上げます。この記事の心は、市民の皆さまにとって病院の将来を加西市のあるべき姿と合わせて包括的に議論すべき時がいずれ来ることを地域医療構想の始まりに合わせてお伝えします。

(病院事業管理者・院長 山邊裕)