市立加西病院
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広報かさい

平成28年8月号掲載

人生の完結期を最期の時まで自分らしく生きるために今考える事

私たちは、緩和ケア認定看護師として、多くのがん患者さんにかかわっています。可能な限り、患者さんがその人らしく最期まで過ごせることを支えたいと思っています。そのために、「病気との向き合い方」「過ごす場所」「最期の迎え方」「大切にしている事柄」など、生き方に関する一人一人の考えを知ることを大切にしています。

しかし、それは決して簡単なことではありません。なぜなら、自分が治る見込みがない病気になったり、認知症などで自分の考えが伝えられない状態になったりした時に、どうしたいかを具体的に考えておられる方は、日本ではそれほど多くないからです。

患者さんの思いを知るために

病院という限られた場所で信頼関係を築きながら、早い時期に患者さんが大切にされていることや希望について対話を重ねます。患者さんの話を聞く中で「延命処置はしてほしくない」「自然な形で最期を迎えたい」「できるだけ家に居たい」「家族に迷惑はかけたくない」などの思いをキャッチします。

そのような時「ご家族に思いを伝えられていますか」と問い返すと、「伝えていません」「忙しくて話す時間がありません」という方がほとんどです。最期の過ごし方について、ご家族と面と向かって話をするきっかけがないのも現実です。

そこで、私たちはご家族の前で患者さんが思いを出せる場や時間をつくっています。そして、思いが伝えられなくなった時のために、代わりに意思決定する方を決めたり、文書で残したりすることを勧めています。そうすることで、患者さんに代わり治療や延命処置などの重要な決断をするご家族の苦悩を軽くすることにもなります。

希望を叶えるために

どうすれば漠然としたその思い(希望)を叶えられるかを多くの方はご存じありません。その思いをご家族に伝えたら、身近な医療者にもその思いを伝え、具体的にどうするかを一緒に話し合っていきます。

医師や看護師だけでなく、薬剤師、栄養士、社会福祉士、ケアマネージャーなどの関係する医療者たちと一緒に考えていきます。希望は時に変わっていきます。そのことを前提に私たちは繰り返し希望を確認し、一緒に考えています。

あなた自身が最期の時まで自分らしく生き抜くために、これを機会に話し合ってみてはいかがでしょうか。

(緩和ケア認定看護師 松本庸子 為廣多真紀)