市立加西病院
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広報かさい

平成29年4月号掲載

看取りを支える訪問看護

ときどき入院、ほぼ在宅

高齢社会に関する意識調査(平成28 年:厚生労働省)によると、年をとってから生活したい場所について、最も多い回答は「自宅」が72.2%、高齢期に希望する場所で暮らすために必要なことについては、「医療機関が近くにあること」が54.3%、「介護サービスが利用できること」が38.2%となっています。年をとっても自宅で暮らし続けたい、そのためには身近なところで医療・介護サービスを受けられる環境が必要だと認識されているという結果が出ています。

病状が悪化した時は近くの病院に入院できる、治療が終われば生活していた場所に戻り療養できる。「ときどき入院、ほぼ在宅」に応えるべく医療、介護の多職種が在宅療養体制づくりに取り組んでいます。

がんでも・・認知症でも・・一人暮らしでも・・

人口の4 人に1 人が65 歳以上という超高齢社会を迎え、在宅療養をされている人は重度化し、一人暮らしや高齢者世帯、老老介護、認認介護など介護をとりまく環境も複雑化しています。

難病やがん、障がい、認知症であっても、在宅医療や在宅介護を利用しながら、住み慣れた場所で療養を続けている人がたくさんおられます。訪問看護は、医療者としての視点と、生活全般を支える視点の両面から、在宅療養とその先にある看取りを支援します。

暮らしの中で最期を迎える

私は訪問看護師として、住み慣れた自宅で最期まで自分らしく生きる人にたくさん出会いました。

大勢の子どもや孫に見守られながら、大好きだった訪問入浴サービスを受けて旅立ったA さん。「一本吸ってから死にたい」と退院希望し、大好きだったタバコを一本吸ってから息を引きとったB さん。「生きることをあきらめない姿を子どもたちに見せる」と、最期まで治療継続を望んだC さん。「天国行きを邪魔しないで」と、一切の治療を希望しなかったD さん。その人や家族にとって最期の大切な時間に、専門職としてだけでなく、人として心を込めて立ち会うことを心掛けてきました。

「本人、家族、周囲の人、それぞれにとっていい看取り」とは、療養場所で最期まで人として大切にされていることを感じられるかどうかだと思います。在宅医療、在宅介護と連携し、暮らしの中にある最期を穏やかなものとすることが、訪問看護の役割です。

苦痛のない、穏やかな最期に、訪問看護ができること

在宅療養において、身体的な苦痛なく過ごせるように、入院先や通院中の病院の主治医、訪問診療を行う在宅主治医、医療機関の看護師や薬剤師などと連携し、苦痛症状を和らげる支援を行います。

在宅主治医や訪問看護師は、24 時間365 日連絡が取れる体制を整えています。看取りの際は、ご家族と一緒に体をきれいにし、旅立ちの準備をお手伝いします。そして、訪問看護師ができることは、少しでも心地良いと感じるケアを繰り返し行うことです。丁寧に体を拭き、洗髪や足浴を行うことは、その人を大切な人として扱うということだと考えます。

地域で支える「aging in place」

全ての人に老いや死は訪れます。「住み慣れた地域で、その人らしく最期まで」の実現には、医療や介護などの専門職だけでなく、ご家族やご近所さん、自治会やボランティア、NPO 団体など地域の力が必要です。自分や家族だけで抱え込まずに、訪問看護にいつでもご相談ください。住み慣れたこの加西市で最期まで暮らしていけるように、地域全体で支え合っていきましょう。

(訪問看護認定看護師 山下千鶴)