市立加西病院
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広報かさい

平成29年12月号掲載

産婦人科の現状 閉鎖の危機

平成29年9月に、長い間加西市の産婦人科医療を支えていた廣瀬先生が退職されました。残る常勤医師は、2人です。この体制では、365日昼夜を問わず危険と隣あわせの産科医療を維持できないため、院長に産科病棟閉鎖も視野に入れた状況報告をしました。


全国的にも3Kの産婦人科を若い医師が専攻することは多くなく、女性医師の比率も高くて出産子育てのためのキャリア中断もあり、また、当直の無い不妊症専門クリニックに勤める医師も多いため、緊急対応、当直ができる若い医師が不足しています。従って、全国各地で分娩取り扱い施設の減少が続いています。加西病院の産科も、ついに終了かというところまできました。


加西病院で産科を維持することは加西市にとっては悲願に近いと病院・市と折衝中感じました。ダメもと、最後のお願いと、インターネット上で産婦人科常勤医の募集をしたところ、奇跡的に立派な経歴の医師が応募されました。たまたまその病院の産科が人員の減少で維持できなくなったためです。つまり、二つの産婦人科が合わさって一つになったわけです。キャパシティーは減っていますので兵庫県、日本全体でみると喜んではいられないことがわかります。新しい医師を迎えて、1月からは再び常勤三人体制で頑張ります。


60 ~ 70歳の医師がこれからどんどん引退していきます。若い医師が産婦人科を専攻して増えていかなければ、世界最高の安全性を誇る日本の産科医療は崩壊の危機にさらされ続けます。厚生労働省も施設の集約化など、考えてはいますが、救急、産科当直対応の医師を増やす抜本的な対策はなかなか難しいのが現状です。


年間100 万弱の分娩で、毎年50 人前後の妊産婦死亡があります。産科の危機的出血は1000 に1 つの割合とされていますので、加西病院では4年に1回は当たる割合になります。その少し前はもっとあり、産科医師が関与しない分娩では、危険率が上がります。


晩婚化、高齢妊娠、危険率の増加という要因からも少子高齢化が進んでいます。人口を維持するためには、国を挙げての抜本的な改革が必要な時期にきています。

(産婦人科 菅原正人)